相続と年末調整

今年も残すところあと半月となり、年の瀬が近付いてきました。
この時期になるとお勤めの会社に年末調整書類を提出された方も多くいらっしゃると思います。
今回は相続と年末調整の関係に触れたいと思います。

年末調整は、給与から源泉徴収された所得税額の年間合計額と、年税額を一致させる精算の手続きですので、相続や相続税とは直接の関係はありません。
しかし、所得をもたらす財産を相続した場合は、年末調整書類への記載に注意が必要になります。
所得をもたらす財産とは、例えば家賃収入が発生する賃貸アパートなどです。
今回は賃貸アパートを相続し、不動産収入を得ることを例に、年末調整書類の記載において、どのような注意が必要になるのか説明をします。

  • 給与所得者の基礎控除申告書
  • 給与所得者の配偶者控除申告書
    給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • さいごに

給与所得者の基礎控除申告書

給与所得者の基礎控除申告書の「給与所得以外の所得の合計額」欄に不動産の見積所得金額を記載します。
不動産所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除した後の金額となります。
年末調整書類を提出する時期は、一年間の正確な所得が算出できないのため、見積額を記載します。

なお、給与所得以外の所得の合計額には源泉分離課税により源泉徴収だけで納税が完結するものや、
あるいは確定申告をしないことを選択した一定の所得は含まれません。
詳しくは、国税庁ホームページをご参照ください。

国税庁ホームページ 「給与所得以外の所得の種類」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/1648_73_02.pdf

給与所得者の配偶者控除申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養に入っている配偶者が、所得をもたらす財産を相続した場合、
給与所得者の配偶者控除申告書の「給与所得以外の所得の合計額」欄に配偶者の不動産の見積所得金額を、
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「所得の見積額」欄に配偶者の見積所得金額を記載します。

配偶者の所得金額によっては、配偶者控除額や、給与から源泉徴収される所得税額にも影響が出るので確認が必要になります。

さいごに

相続の申告はもちろん、年末調整も年に1回と触れる機会が多くありません。
お困りのことがございましたら、税理士法人フォースへご相談ください。